凝固剤|ゼラチン・アガー・寒天とは?違いは何?それぞれの特徴と使い分け
夏になると恋しくなる、ぷるぷる、つるんとした冷たいおやつ。そんな夏のスイーツ作りに欠かせないのが、液体を固める働きをもつ凝固剤(ゲル化剤)です。今回は、代表的な凝固剤であるゼラチン、アガー、寒天について、それぞれの特徴や違いをご紹介します。
ゼラチンとは?
ゼラチンは、コラーゲンを原料とした動物由来の凝固剤で、ぷるんとした弾力性と粘性を持ち、融解温度が低いため口溶けが良いのが特徴です。また、起泡性があるため、ムースやマシュマロなども作ることができます。
ゼリー、ババロア、ムース、レアチーズケーキ、マシュマロ、グミなど
ゼラチンの原材料
牛や豚の皮や骨、魚の皮やウロコなどに含まれるコラーゲンで、牛由来・豚由来・魚由来の3タイプに分けることができます。
牛由来 |
豚由来 |
魚由来 |
日本国内で一般的に普及しているゼラチン。クセが少なく、幅広いメニューに対応。 | 海外で一般的に普及しているゼラチン。牛由来に比べると特有のコクがある。 | 牛・豚由来の使用が難しい方でも使えるゼラチン。においが少なく、口溶けが良い。 |
ゼラチンの種類
ゼラチンには、板ゼラチン・粉ゼラチン・顆粒ゼラチンの3種類があります。
板ゼラチン
薄いシート状のゼラチンで、水でふやかしてから使います。
【特徴】
- 1枚の重さが一定ため、計量不要で枚数単位で使うことができる。
- ふやかす時間が粉ゼラチンより短い。
- 粉ゼラチンに比べて透明度が高い。
- 水の絞り具合によって、仕上がりに影響がでることがある。
- 製菓店など、プロの現場で使われることが多い。
【ふやかし方】
たっぷりの冷水(または氷水)のなかに、ゼラチンを1枚ずつ入れる。芯がなくなり柔らかくなったら、手で絞ってしっかりと水気を切る。
粉ゼラチン
粉末状のゼラチンで、水でふやかしてから使います。
【特徴】
- グラム単位で正確な計量ができ、少量から使うことができる。
- あらかじめ計量した水でゼラチンをふやかすため、いつも同じ固さで固めることができる。
- ふやかす際に水以外の液体を使うことができる。
- 扱いやすく、初心者におすすめ。
【ふやかし方】
ゼラチンに対して4~5倍の水にゼラチンを振り入れる。10分程度ふやかして、水分を十分に含ませる。
顆粒ゼラチン
サラサラとした顆粒状のゼラチンで、水でふやかす必要はありません。
【特徴】
- ふやかす手間なく、直接溶かすことができる。
- ふやかす必要がないので、余分な水が入らず味に影響しない。
- 扱いやすく、初心者におすすめ。
ゼラチンの基本的な使い方
使用量の目安:水分量に対して1.5~3%
- ① 50~60℃程度に温めた液体にゼラチンを加える。
- ② ゼラチンを溶かす。
- ③ 粗熱を取って型に流し、冷蔵庫で冷やす。
ゼラチン使用上の注意点
- ▶ 生のキウイフルーツやパイナップルには要注意
タンパク質分解酵素を多く含むフルーツを使用するとゼリーが固まらなくなります。これらのフルーツを使う場合は、ひと煮立ちさせるか缶詰を使ってください。 - ▶ 沸騰は厳禁です
高温(80℃以上)で加熱すると、タンパク質が変性し凝固力が弱まります。沸騰した液体に加えたり、ゼラチンを加えた後の沸騰は厳禁です。 - ▶ 酸味の強い果汁は使用量を控えめに
レモンやグレープフルーツなど、酸味の強い果汁はゼリーを柔らかくします。使用量を全体の20%以下に控えるか、あらかじめゼラチンを溶かしたゼリー液を作り、粗熱が取れてから果汁を加えてください。 - ▶ 夏場は温度に気をつけて
固まったゼラチンは、25℃以上になると徐々に溶け始めます。夏場は温度に注意が必要です。