せっかくの美味しいクーベルチュールチョコレートを使っても、テンパリングがうまくいかなければ、固まらなかったり、表面が白っぽく艶のないチョコレートになってしまいます。また、テンパリングの失敗は、見た目だけでなく風味や口どけを悪くする原因にも。おいしく美しいチョコレートのために、テンパリングをマスターしましょう。
テンパリングとは?
チョコレートが口の中でとろーり溶けるのは、チョコレートに含まれるカカオバターの性質によるものです。実はこのカカオバター、数種類の性質が異なる分子から構成されているため、チョコレートをただ溶かして固めただけでは美味しいチョコレートにはなりません。そこで、必要になるのが溶かしたチョコレートを適切な温度管理のもとで安定した状態の分子に再結晶化させること。この温度管理のことを「テンパリング」といいます。
テンパリングの温度
チョコレートをいったん溶かし、温度の上げ下げを行うことによって安定した結晶を作り出すテンパリングの作業。チョコレートの種類によってテンパリングの温度は異なります。
※パッケージにテンパリング温度の指示がある場合は、そちらを優先してください。
溶かす温度(A) | 下げる温度(B) | 保温温度(C) | |
---|---|---|---|
スイートチョコレート | 50~55℃ | 27~29℃ | 31~32℃ |
ミルクチョコレート | 40~45℃ | 26~28℃ | 29~30℃ |
ホワイトチョコレート | 35~40℃ | 23~25℃ | 27~28℃ |
テンパリングの手順
テンパリングにはいくつかの方法がありますが、ここでは一般的な水冷法をご紹介します。
- 1)チョコレートを湯煎にかけて溶かしAの温度まで上げる。
- 2)湯煎から外し、冷水または氷水にあててBの温度になるまで下げる。
- 3)再び湯煎にかけて、Cの温度になるまで上げる。
テンパリングのチェック
テンパリングの作業を終えたら、パレットナイフやカードなどにチョコレートを少量つけて状態をチェックします。
しばらくおいて、つやよく固まれば成功です。 |
なかなか固まらなかったり、表面が白っぽくなってしまったら失敗です。 |
もし、テンパリングに失敗したら、もう一度最初から温度調整を行ってください。ただし、水分が入ってしまった場合はやり直しがきかないため、焼き菓子に使ったりホットチョコレートにして飲むのもおすすめです。また、余ったチョコレートは次回に使用できます。テンパリングがとれた状態でクッキングペーパーなどの上に流し、固まったら保存袋に入れ冷暗所で保管してください。
テンパリングの注意点
- ・テンパリングは必ず製菓用のクーベルチュールチョコレートを使用してください。
- ・チョコレートの量が少ないと温度変化が速く、うまくテンパリングできません。最低でも200gは必要です。
- ・チョコレートに水分は大敵。ボールやゴムベラなどの道具類はしっかりと水分を拭き取りましょう。
- ・湯煎用とチョコレート用のボールは同じサイズにするか、湯煎用をひとまわり小さいサイズにします。そうすればボール同士が密着するので、水分の混入を防ぐことができます。
マイクリオを使ってもっと手軽に
マイクリオは粉末状のカカオバターです。マイクリオは安定した結晶からできているため、溶かしたチョコレートにマイクリオを加えると、テンパリングの作業を簡略化することができます。また、少量のチョコレートのテンパリングも可能になります。
- 1)チョコレートを湯煎にかけて溶かし40~45℃まで上げる。
- 2)湯煎から外し、室温で34℃になるまで下げる。
- 3)チョコレートに対して1%のマイクリオを加え、よく混ぜ合わせる。
- 4)33℃前後になったらテンパシング完了です。
テンパリング不要のチョコレート
パータグラッセや洋生チョコレートとも呼ばれるコーティングチョコレートは、カカオバターの代わりに植物油脂が使われているため、テンパリングの必要がありません。湯煎にかけるだけでテンパリングしたようなつややかな仕上がりに。