基本のいちごジャムの作り方&簡単時短レシピ|煮る時間は?ペクチンって何?
冬の間はちょっと贅沢だった「いちご」が、春になると手頃な価格になり、小粒だったり不揃いのいちごがジャム用として売られていることも。そんないちごの季節がやってきたら、旬の美味しさをギュッと詰め込んだ自家製ジャムを作ってみませんか。ここでは、基本のいちごジャムと電子レンジで簡単!時短いちごジャムの2つのレシピをご紹介。また、ジャム作りに欠かせない「ペクチン・酸・糖」の関係についても解説します。

基本のいちごジャムレシピ
いちご1パックから始める、基本のいちごジャムレシピ。ジャム作りといえば弱火でコトコト煮るイメージがありますが、強火で短時間で仕上げることで、色よく果実感たっぷりのジャムに仕上がります。

材料(140ccの保存瓶 約1.5本分)
- ・いちご1パック(正味)280g
- ・グラニュー糖 140g(いちごの50%)
- ・レモン汁 1/2個(約15g)
作り方
1 いちごは水を張ったボールに入れて軽く水洗いし、ペーパータオルで水気をふきとる。

2 いちごのヘタを取り、縦半分に切る。

3 ボールにいちごとグラニュー糖、レモン汁を入れ、ゴムベラで全体を混ぜる。

4 ラップをして、いちごから水分が出てくるまで半日ほど置く。

5 保存瓶(ジャム瓶)を煮沸する。
- ①瓶と蓋をよく洗う。
- ②鍋に瓶と蓋を入れてたっぷりの水を注ぎ、沸騰したら火を少し弱めて5分ほど加熱する。
- ③トングを使って鍋から瓶と蓋を取り出し、口を下にして乾かす。

6 鍋に4を入れ、強火にかける。

7 沸騰したらアクを取り、火を少し弱めて(強めの中火)焦げないようにゴムべらで混ぜ合わせながら加熱する。

8 いちごにツヤがでて、全体にゆるいとろみがついたら火を止める(加熱の目安は約10分)。

コップテスト
ジャムは冷めると固くなるため、ゆるめのとろみで火を止めます。適度なとろみがついているかどうかは、コップテストでチェックすることができます。
[方法]
氷水にジャムにを垂らし、ゼリー状になって散らずに沈んでいくようであればOK。水面近くですぐに散ってしまう場合は、とろみが弱いためもう少し煮詰める。
9 ジャムが熱いうちに煮沸消毒した保存瓶に注ぐ。
※脱気しない場合は、保存瓶いっぱいまで注ぎ、できるだけ空気が入らないようにします。


10 しっかりと蓋をしめ、逆さまにしてそのまま冷やす。
※冷めたら冷蔵庫に入れ、未開封の状態で約1ヶ月、開封後は10日間を目安に食べきりましょう。

脱気について
基本のいちごジャムレシピは1ヶ月程度で食べきるレシピのため脱気は行っていません。長期保存する場合は、脱気が必要になります。
※脱気とは、熱いジャムを瓶に充填することによって温められた空気を外に逃がすことで、脱気をすることによって酸化を防いだり、保存性を高めることができます。
[脱気の手順]
- ①煮沸消毒した瓶に、熱い状態のジャムを9割程度注ぐ。
- ②1分ほどたったら、一瞬キャップをゆるめて空気を逃がし(シュッと音がします)、素早く締め直す。
- さらに保存性を高めたい場合は、脱気後煮沸消毒をしてください。

電子レンジで簡単!
時短いちごジャムレシピ
少量のいちごが余ったら、電子レンジで簡単に作れる時短いちごジャムレシピはいかがでしょう。甘さ控えめ、短時間の加熱でフルーツソースのようなジューシーな仕上がりに。

材料
- ・いちご(正味) 100g
- ・グラニュー糖 30g(いちごの30%)
- ・レモン汁 小さじ1(5g)
作り方
1 いちごは水を張ったボールに入れて軽く水洗いし、ペーパータオルで水気をふきとる。
2 いちごのヘタを取り、縦半分に切る。
3 大きめの耐熱ボールにいちごとグラニュー糖、レモン汁を入れ、ゴムベラで全体を混ぜ、30分ほどおく。
4 水分がでてきたらよく混ぜ、ラップをかけずに600Wの電子レンジで3分加熱する。

5 一旦取り出して、アクを取る。

6 全体をかき混ぜて、3分加熱する。
※とろみをつけたい場合は、さらに1~2分加熱してください。

ジャム作りに必要なペクチンって何?
ペクチンとは、植物に含まれている食物繊維の一種で、植物の細胞同士をつなぐ接着剤のような働きをしています。ペクチンは、糖と酸を加えて加熱するとゲル化する性質があり、ジャムのとろみはこの性質を利用しています。ジャムのゲル化にはペクチンが1%以上、出来上がりの糖度が55~65%、PH2.9~3.4程度の酸が必要なため、ジャム作りには大量の砂糖を使用し、酸が少ない果物にはレモン汁やクエン酸を加えてphを調整します。

果物のペクチン含有量
ペクチンの含有量は果物の種類によって異なり、多いととろみがつきやすく、少ないととろみがつきにくくなります。また、とろみには果物の熟度も関係していて、未熟な果実のペクチンは固い構造のため水には溶けず、逆に熟し過ぎるとペクチンが分解されて固まりにくくなります。おいしいジャムを作るためには、適度に熟れた食べ頃の果物を使いましょう。
種類 | ペクチン | 酸 |
---|---|---|
りんご・レモン・オレンジ・スモモ | 多い | 多い |
イチジク・桃・バナナ | 多い | 少ない |
いちご・あんず | 少ない | 多い |
ぶどう・びわ | 中くらい | 中くらい |
梨・柿 | 少ない | 少ない |
HMペクチンとLMペクチンについて
ペクチンの含有量が少ない果物には、粉末のペクチンを加える場合があります。粉末ペクチンには、HMペクチンとLMペクチンがあり、HMペクチンは果物のペクチンと同様、ゲル化するためには砂糖と酸が必要です。一方のLMペクチンは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルでゲル化するため、甘味や酸味を抑えたジャムを作ることができます。
ジャムの糖度について
食品に含まれている糖分の割合を糖度といい、ジャムの場合、糖度65%以上を高糖度、糖度55%以上65%未満を中糖度、糖度40%以上55%未満を低糖度として分類されます。高糖度のジャムはしっかりとした甘さ、固さがあり、長期保存が可能、低糖度のジャムは果実本来の美味しさが楽しめる反面、とろみがつきにくく、保存期間も短くなります。甘さやとろみ、保存性を考えながら、自分好みのジャムを作ってみてはいかがでしょうか。

ジャム作りにおすすめの砂糖
砂糖は、単にジャムに甘みをつけるだけでなく、保存性を高めたりとろみを出すのにも欠かせない材料です。ここでは、ジャム作りにおすすめの砂糖についてご紹介します。

その他の砂糖について
一般的によく使われている上白糖は転化糖が入っているため焦げ色がつきやすく、グラニュー糖に比べると重たい甘さなので、ジャムに使う場合は少し控えめに。また、カラメル化された三温糖や精製されていない黒糖などは、独自の風味が強く色も黒く仕上がるため、果物の風味や色合いをいかしたいジャムには向いていません。いかがでしたか。いちごジャムはシンプルな材料で、煮詰める時間も短いため、思ったより簡単に作ることができます。そして、何といっても作業中に部屋いっぱいに漂ういちごの甘い香りは、手作りならではの特権です。手頃な価格のいちごを見つけたら、ぜひいちごジャム作りにチャレンジしてみてください。
