手作りケーキのデコレーション|生クリームの泡立て方・ナッペ・絞りのコツ
ケーキと聞いてまず思い浮かぶのは、ふわふわのスポンジにたっぷりの生クリームとフルーツがのったショートケーキ。日本人にとっては、まさに王道のケーキですよね。手作りしてみたい憧れのケーキですが、いざ挑戦してみるとデコレーションがうまくいかず、がっかりした経験がある方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、デコレーションケーキの要となる生クリームの扱い方に注目し、基本となる泡立て、ナッペ、絞りのテクニックをご紹介します。
ケーキと聞いてまず思い浮かぶのは、ふわふわのスポンジにたっぷりの生クリームとフルーツがのったショートケーキ。日本人にとっては、まさに王道のケーキですよね。手作りしてみたい憧れのケーキですが、いざ挑戦してみるとデコレーションがうまくいかず、がっかりした経験がある方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、デコレーションケーキの要となる生クリームの扱い方に注目し、基本となる泡立て、ナッペ、絞りのテクニックをご紹介します。
デコレーションの成功を左右する重要な要素となるのが生クリームの泡立てです。ここでは、生クリームの泡立てに必要な道具と、用途に応じた泡立ての状態を見極めるためのポイントについて解説します。
生クリームの泡立てにはハンドミキサーが便利です。ただし、ハンドミキサーのみで泡立てると過剰に泡立ててしまうことがあるため、6分立て程度になったら泡立て器に持ち替えましょう。ボウルは泡立て用と氷水を入れて冷やす用の2個を用意します。泡立て用のボウルは生クリームが飛び散りやすいため、深型のものがおすすめです。
生クリームは、ナッペや絞りなどデコレーションの場面によって、必要とされるクリームの固さが異なります。まずは、用途に応じたクリームの固さを見極められるようになることが大切です。
ボウルに生クリームを入れ、生クリームの量に対して5~10%のグラニュー糖を加えて泡立てる。
*生クリームは温度が上がると分離しやすくなります。氷水にあててクリームの温度を低く保つことで、きめの細かい安定したクリームを泡立てることができます。
クリームをすくったときに、すぐに流れ落ち、落ちた跡がうっすらと残る状態。
▶ここからは泡立て器に持ち替えて泡立てます。
クリームをすくったときに、トロリとゆっくり落ち、落ちたクリームが盛り上がる状態。
▶ナッペの本塗りで使用する固さです。
クリームをすくったときに、泡立て器の中にクリームが残り、下向きのツノができる状態。
▶ナッペの下塗りと絞りで使用する固さです。
クリームをすくったときに、泡立て器の中にクリームがしっかりと残り、固くしまったツノがピンと立つ状態。
▶サンドで使用する固さです。
生クリームは泡立てすぎると、分離してボソボソの状態になってしまいます。多少の分離であれば、液体の生クリームを少量加えてゆっくりと混ぜ合わせることで、滑らかな状態に戻すことができます。
*分離が進み過ぎた場合は、生クリームをさらに泡立て水分(バターミルク)が出るまで撹拌します。水分を除けば、フレッシュバターとして使うことができます。
ナッペとは、フランス語で「広く平らに覆う」という意味があり、ケーキ全体をクリームで均一に覆う作業を指します。ナッペは見た目の美しさだけでなく、スポンジの乾燥を防ぐ役割も果たします。ここでは、ナッペの作業に必要な道具と、ナッペの手順について詳しく解説します。
ナッペの作業をスムーズに行うためには、回転台とパレットナイフが必須です。ご家庭で作ることの多い5号・6号サイズのケーキなら回転台は24cm、パレットナイフは刃渡り20cm程度のものがおすすめです。
パレットナイフは柄と刃の境目部分を軽く握り、人差し指をまっすぐ伸ばして刃の部分に添えて持ちます。側面を塗るときは、パレットナイフを垂直に立てて、上面を塗るときは進行方向の刃を少し浮かせて平行移動させます。
ナッペは、まずクリームを薄く塗る下塗りを行い、その後で本塗りを行います。こうすることで、スポンジからでる細かなカス(クラム)が抑えられ仕上がりがきれいになります。ここでは、生クリームの泡立て、ナッペの前段階であるスポンジにクリームとフルーツを挟むサンドの工程もあわせてご紹介します。
デコレーションに使う生クリームは、サンド用は9分立て、下塗り用は8分立て、本塗り用は7分立てと、用途によって固さが異なります。以下の手順で生クリームを泡立てると、ひとつのボウルで効率よく作業することができます。
デコレーションに使う生クリームは、乳脂肪分が高すぎると扱いが難しく、低すぎると形が保てないため、乳脂肪分40%前後のものが適しています。
乳脂肪分36%:泡立つまでに時間がかかる。低脂肪のため空気を多く含み、ふわっと軽い。
乳脂肪分45%:泡立ちが早く、しっかりとした固さがある。慣れていないと泡立て過剰で分離しやすい。
*乳脂肪分の異なる生クリームをブレンドして使用することもできます。例えば、36%と45%をブレンドすることで、デコレーションに適した40%程度の乳脂肪分となり作業がしやすくなります。
スポンジ生地を回転台の中央に置いて9分立てのクリームをのせ、パレットナイフでスポンジ全面に塗り広げる。
*回転台とスポンジ生地の中心がズレていると、ナッペの作業がしにくくなるので注意しましょう。
外周から1cm内側にスライスしたいちごを並べる。
*中央部分を空けていちごを並べると、カットした際にいちごがこぼれにくくなります。
いちごの上にクリームをのせ、いちごが埋まるようにクリームを広げる。
スポンジ生地をのせ、手のひらで軽く押さえて平らにする。
スポンジ生地の中央に8分立てのクリームをのせ、パレットナイフでスポンジ全面にクリームを塗り広げる。
パレットナイフの先端でクリームをすくい、回転台を回しながら側面の段差を埋めるように塗り広げる。
*パレットナイフは、時計の7~9時の間の位置で前後に動かしながら塗ると効率よく塗ることができます。
側面全体を塗り終えたら、パレットナイフを固定し、回転台を回してクリームをならす。
スポンジ生地の中央に7分立てクリームをのせ、下塗りと同様に塗り広げる。最後はパレットナイフを固定し、回転台を回しながらクリームをならす。
下塗りのときよりもたっぷりとクリームをすくい、縁の部分が盛り上がるくらい厚めにクリームを塗る。
三角コームやパレットナイフで側面に模様をつけたい場合は、この段階でつけます。
縁に盛り上がっているクリームを、パレットナイフで外から内側にならす(角だし)。
*パレットナイフについているクリームはその都度ボウルの縁で拭い取り、常にきれいな状態にしておきます。
スポンジと回転台の間にパレットナイフを浅く差し込み、裾の部分の余分なクリームを取り除く。
デコレーションケーキの仕上げを華やかに演出する「絞り」。ここでは、絞りの作業に必要な道具と、代表的な3つの口金の特徴と絞りのテクニックについてご紹介します。
絞り袋には洗って繰り返し使えるタイプと、使い捨てタイプがあります。生クリームのような加熱せずに直接口に入るものを絞る時は、衛生的に優れた使い捨てタイプがおすすめです。
ケーキのデコレーションに使われることが多い星口金・丸口金・サントノーレ口金。それぞれの特徴と絞り方のコツを動画とあわせてご紹介します。
中心から放射状に切り込みが入った星口金は、シンプルに絞るだけで星形になるため、 初心者の方にもおすすめです。 切り込みの数が多いほど、華やかな印象になります。
デコレーションのほかに、生地の絞りなどにも使える出番の多い丸口金。シンプルながらもかわいらしい丸みのあるフォルムが人気です。
丸口金にV字の切り込みが入ったサントノーレ口金。この切り込みにより、インパクトのある立体的な仕上がりになります。
いかがでしたか。生クリームは、ケーキの魅力を何倍にも引き立てる魔法の材料。しかし、その扱いは意外と繊細で、ちょっとしたコツを知っているかどうかで仕上がりが大きく変わります。ナッペや絞りの作業は、最初は難しく感じるかもしれませんが、練習を重ねることで、お店のようなケーキがご家庭でも作れるようになります。